神南|期間限定セットアップオフィス
EDIT
>>LOCATION
行き交う人の波に少々揉まれながら、渋谷駅から公園通りを歩く。膨大な情報や賑やかな活気を五感フル活用で脳内処理しつつ、渋谷モディのあたりで逃げるように脇道へ潜ると、辺りには一気に路地裏の雰囲気が出てきた。細くて人通りもまばらな道だが、表通りから滲み出る活気の熱のようなものも少し伝わってくる。そんな神南の路地裏に見つけた今回の物件。至ってノーマルな外観の上、少し奥まったところに建っているため、注視しなければ見過ごしてしまうような建物だ。
>>SPACE
先に申し上げておくと、この物件は8ヶ月間のみの契約という非常に高いハードル設定だ。その短期間のために物件を借りるというのはなかなか前向きに考えられないかもしれないが、この空間にはそういったハードルの高さを果敢に乗り越えたくなる面白さがあった。
この空間の最大の特徴は、オフィスっぽさが全く無いということ。荒々しい色味が残るスケルトン状態の天井や、テープを剥がした跡のようなものが見える床は、ガレージやラボとして使われていたような雰囲気をムンムンに醸していた。敢えて使われているであろう白色の蛍光灯、一部に敷かれたトタン、パーティクルボードで出来たドアなどのディテールも、いちいちガレージっぽさを作り出し、あまりのそれらしさに少し息苦しくなるくらいだ。言うなれば、世田谷ベースならぬ、神南ベース。気の済むまで作業に没頭できそうな空間だった。
>>WORKSTYLE
さらに、この物件のハードルがかなり高いと思われる要素が1つある。これは利用可能期間8ヶ月ということが少し可愛く思えるような、ちょっと笑ってしまうような条件。
実はこの区画は、1Fの入居者がオフィス内を通路としてウロウロしちゃうという事実がある。今回募集の区画の奥には、1Fが利用するテストキッチンのスペースがあり、そのスペースへは、この3F区画を通らなければ入ることができない。顔の知らない人が自分たちのオフィス内を通路とするというのは、オフィスとして構えるにはほぼ成立しない条件だが、持ち前のラボっぽさを理由に、全て実験、なんでもアリだと思えば少しは納得できるだろうか。知らない者同士の混じり合いにより、もしかしたら何か化学反応が生まれるかもしれない。
どちらにせよ、ここはワクワクする体験ができる物件であることは間違いない。8ヶ月後、どんな物が生み出されるか、どんな実験結果が得られるのかが楽しみだ。
EDITOR’S EYE
前コワーキングスペースとして利用されていた家具も付いてくるため、身軽な状態で利用することができるこの物件。そういった利点も考慮しつつ、サテライトオフィスとしての入居を検討してみてはどうか。路地裏でひっそり繰り広げられる事業を、短期決戦でモノにするかっこよさに酔いしれてみたいと個人的には思う。