南麻布オフィス|リノベーション メゾネット空間
EDIT
>>LOCATION
明治通りの起点となる古川橋がある南麻布。上部には首都高も走っていることから、道路沿いは車の音で賑やかな印象。通り沿いを歩いていると、外国人とすれ違うことも多く、各国の大使館が点在するインターナショナルな街だということに改めて気付かされる。そんな明治通り沿いから1本入った、とても静かな住宅街にこの建物はあった。
>>SPACE
空間自体は、3F/4Fのメゾネットタイプ。室内は、2020年6月にリノベーションが完了し、穏やかさの中に色っぽさがある大人の空間に仕上がっていた。
3Fは、チーク材の斜め天井部分が、狭いながらも吹き抜けとなり空間を繋ぐ。変則的なポジションにある斜め天井の窓からは、空間の奥の方まで柔らかい光が差し込み、コンクリートの床と白い壁と天井に反射した光を静かにチーク材の壁面が吸収する。まだ空っぽの状態からでも、そんな色っぽさを感じられる、なかなか良い仕上がりだった。
そして、ちょっと急な階段から4Fへ上がってみれば、斜めの天井が屋根裏の秘密基地っぽさをイメージさせるのか、なんだか妙に籠りたくなる落ち着くスペース。シンプルな内装ではあるが、上下階を繋ぐ一面のチーク材がアクセントとなり空間全体のバランスを絶妙に保っていた。
>>WORKSTYLE
今回のリノベーションは、斜め天井部分のチーク材と床のモルタル、それ以外が白塗装と、特段珍しい素材を使用している訳ではない。ただ、見れば見るほどその絶妙なバランスが、この空間をグッと良くしていることに気付かされる。きっと、床がフローリングでも、斜め天井が白壁でも、ここまでの色気は出ないだろう。木の壁面の隙間から差し込む光。綺麗に仕上げられたコンクリートは、日が当たることで綺麗を超えて清潔感すら感じさせるものへ。
たった三つの要素だが、その組み合わせを丁寧に考え、一番しっくりくる形に整える。そのこと自体は、決して難しいことではないかもしれないが、意外とできていないことが多い中、お手本とも思える掛け合わせのこの空間に好感を抱いた。
おそらく、何事もそういう考え方は共通していて、企業においても「空間×人×働き方」の絶妙なバランスを保って仕事をしていくことがHAPPYになるのに不可欠。仕事をする環境においても、多様性や、自由が掲げられているからこそ、それぞれの要素を丁寧に選び、その会社らしさを作り上げていく。そして、そんな掛け合わせを意識した時、この空間が1つの良い要素となってくれることを期待している。
EDITOR’S EYE
この空間の夜の顔も期待していただきたい。生憎、昼間の表情しかみれていないが、吹き抜け部分の隙間に隠された関節照明が、チーク材の天井の上下階を放射線状にライトアップして、日中とは異なるムーディーな空間へと変化させるのではないかと期待している。