神宮前オフィス|現状回復無し 1棟貸し
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表参道駅徒歩5分。南青山5丁目交差点先のFOUND MUJIの脇を抜け、神宮前の住宅街へ進む。抜け道でないために、人通りも少なく落ち着いたこの道沿いは、稀にポール・スミス本人が接客してくれるというPaul Smith SPACEや、緑に溢れ異国に訪れた様な非日常を感じさせるLAS CHICASなど、このエリアらしいコンテンツには事欠かない。今回の建物はそのコンテンツの一つになり得るだけの可能性を感じる不思議な建物。どこか工業製品のような外観の建物は、柔らかさを残す空間で歓迎してくれた。
前面を鋼板で覆い隠した様な建物中央にある玄関から室内へ入ると、木造らしい温かみを感じる空間が現れる。原状回復義務なしという魅力的な特徴を持つこの建物は、現状4LDKからなるレイアウトだが、その変更にも柔軟に対応してくれるだろう。ゆとりあるエントランス右手のメインスペースには、以前のテナントの名残となる単管パイプと照明吊り下げ用のバトンが。木造の建物にはやや違和感のある鋼材は遊び心を刺激するが、もちろん撤去も可能となるのでご安心頂きたい。隙間から光の落ちる階段を上った先には中廊下でつながる小分けにされた空間が4つ。一部柱は残るかもしれないが、それぞれの空間を繋げる事も可能となるので、用途含めフレキシブルに考えてみて欲しい。ただ、畳敷きの和室に関しては仮眠室や追い込み時期の宿泊などにも重宝するはずなので、あえて残すという選択肢もありだろう。利便性の高い立地で、元住居としての居心地の良さもあり、魅力ある建物であることは間違いない。
この建物の魅力は、そんな住居としての快適性だけでなく、その攻めの姿勢にあるかもしれない。現状渡し・原状回復義務無しという条件にて、建物自体がこの感度の高いエリアの戸建という現状に満足することなく、自らの更なる進化を要求しているのだ。以前より受け継がれた内装は大切にしつつ、自社のこだわりでこの空間を一新する、そんな気概を持った企業であれば、なお喜んでくれるだろう。空間全体から漂うそんなメッセージをしっかりと受け取りながら、遊び心を持ちつつも、この建物にもこのエリアにも負けぬ様に高みを目指し、攻めて攻めて攻めまくってみて欲しい。
EDITOR’S EYE
この立地の1棟で駐車場2台付き、原状回復義務無しと魅力的なワードが並ぶ。元住居だけに廊下や水回りで面積を取られている部分はもちろんあるが、現状でもそれぞれまとまった面積の空間が確保されており、その使い勝手も悪くないだろう。貴重なエリアのこの物件、争奪戦は必至かもしれない。