EDIT
>>LOCATION
古くより骨董品店が軒を連ね、いつしかその名で呼ばれるようになった青山骨董通り。今では海外食文化の進出や、アパレルブランドなどが多く並ぶ世界からも注目される通りとなった。表参道駅より5分程の骨董通り沿いに建つ大型マンション。40歳を越える年齢のわりには綺麗に保たれた外観の建物で、現在では多くの区画がオフィスとして使われている。
>>SPACE
区画は6階部分。何の変哲もない共有廊下にある普通のドアを開けると、ガラスのパーテーション越しに、良い意味で期待を裏切る空間が現れた。リノベーションの代名詞になりつつあるスケルトン仕上げに、新設された素材たちが絡み合う面白い空間。かつての仕上げの痕跡などを、あえてデザインとして取り込んでいるコンクリート壁や天井、渋い色味の木材や素焼きタイルが張られた床など。海外のレトロなカフェにでも来たかのような、渋カッコいい空間だ。玄関回りは少し変わった作りとなっており、壁や扉は部分的に昔の仕上げを残しつつも、新設されたガラスのパーテーションや水回りなど、色々と混合している。これはこれで不思議な面白さを感じる作りだ。この部屋の良さは室内だけに留まらない。2方向の連続窓から見渡す風景は、遠くの空までポッカリと空いた最高の見渡し。宝石のように煌めくプラダ青山や、遠くには六本木ヒルズなども見渡せ、この街はオレのもの!と言わんばかりの気持ちの良い眺めだ。きっと夜はとてもロマンチックな風景が広がるだろう。この風景だけでも、この物件を借りる価値は十分あるように感じる。
>>HOW TO USE
この空間から働き方を想像してみる。例えばカフェで働くというコンセプト空間に仕上げてみてはどうか。木の質感を感じる大きなテーブルを置き、クラシックな色味の異なる椅子を並べ、ペンダントライトや軽めのシャンデリアなどで室内を演出する。現在の室内の雰囲気や骨董通りにちなんで、レトロなデザインのインテリアをベースとすればより渋カッコいい空間となりそうだ。出社とともに、キッチンのカフェカウンターでコーヒーを入れ、テイクフリーの軽めのパンをかじりながら朝の業務はスタート。コーヒーの薫りとレコードから流れる音楽に癒されながら働く日常。夜はバーにもなるだろう。想像するだけでもたまらない仕事場となりそうだ。十分ポテンシャルはある空間なので、後はどのようなコンセプトでこの空間を彩ろうか色々と想像して欲しい。
EDITOR’S EYE
タイトルに付けた通り、室内の印象は「渋い」の一点張り。元々のポテンシャルもあるが、新しい素材がよりその渋さに深みを与えているように感じる。このようなテイストのリノベーション空間はなかなか珍しいのではないだろうか。