EDIT
甲州街道が山手通りと交わる東京オペラシティのほど近く。住所は渋谷区でありながら、新宿とのつながりが強い、初台駅徒歩1、2分のエリアにこの建物はあった。この辺りのロードサイドは上空を首都高速が占拠し、ある種、雑然とした雰囲気を醸し出しているが、この区画はその高速の上に位置し、行き交う車を見下ろすことができる、抜け感のあるポジションを確保している。
元々は建物オーナーの住宅があった最上階。そこをコンバージョンしてオフィスとなったこの空間は、スタンダードなオフィス仕様に纏まっている。現状、最上階のため、断熱に配慮し造作された天井が設置されているが、見た目から入りたいという方は、早速天井を撤去してしまって更に天井を上げてしまうこともアリだろう。コンクリート剥き出しの天井。ダクトレールを天井に這わせ、スポットライトを中心にした空間に仕上げる。昼は昼で遮るものがないので、採光を存分に確保し、夜はムーディーな空間で、行き交う車のライトを楽しむということも、何とも都会らしい働き方と思う。
窓がしまっていても、ある程度の交通音はするため、その点の理解はいただきたいが、逆に、こちらから発するある程度の音や声にはびくともしないのではないだろうか。オペラシティを見上げるオフィスで、窓からこぼれる交通音を遮るためを理由に音楽を少々、そんな働き方もいいだろう。
首都高とは逆の方に設置されているルーフバルコニーは、ウッドデッキ仕様。丁度オペラシティを見上げるポジションのため、夜景にも期待が出来る。設置されている照明をぼんやりと灯しながら、凝り固まった頭を少しお酒でほぐしつつスタッフ同士コミュニケーションを取るのも悪くないのではないだろう。
初台という独特な印象を纏うこの街で、比較的スタンダードなオフィス空間でも、建物最上階、ロードサイドという特性を活かし、空間も働き方もアレンジしながら利用してみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
このサイズ感のオフィスにしてはしっかりとした水回りの環境が嬉しい。2つのトイレがしっかりと作られており、男女分けることも可能。また、ミニキッチンがおさまっているところも空間から見えにくく、控えめにしっかりとスペースが確保されているのは使いやすいだろう。ウッドデッキの敷かれたルーフバルコニーに面しているのも、遊び心くすぐる配置だ。