EDIT
北参道駅を出て、明治通りを原宿方面へ向かう。すぐに裏通りに入ると、小さなオフィスビルやマンションがいくつも建っている。アパレルやデザイン関係の企業が多いエリアで、窓から洋服や雑貨のサンプルが見える部屋も多い。そんなロケーションに、スペイン語で「小さな家」という意味の名を持つこの物件を見つけた。
実際は、「小さな」と言われるほど小さいとは思えない空間だ。メゾネットになっており、吹き抜け部分があるため天井が高い。吹き抜けと同じ高さの窓から室内に程よく光が差し込み、上下階どちらにいても閉塞感は感じられない。濃い木目の天井と白い壁は相性が良く、それが空間のアクセントになっているのにも好感が持てた。築年数は経っているが、丁寧に改修がされていて、訪れた人は、古さよりも質の高さを先に感じる空間ではないだろうか。
この辺りには、名作と呼ばれるヴィンテージマンションがいくつもある。ヴィンテージとは本来、ワインに使われる言葉であったそうだが、広義では「良き時代に作られたもの」全般をさすといってもよさそうだ。それこそワインや車ではないが、働く空間も、年代と仕様で選ぶ、なんて言うのも面白いかもしれない。ネーミングからもオーナーの愛情も感じられるこちらの物件、経年の分だけ、色々なドラマがあったと思って楽しんでみるのも素敵だ。
EDITOR’S EYE
この物件は、共用部の色使いも含め、少しだけ凝った造りをしている。小さいながらも細部までデザインされた、建築物としても味のある物件であった。建物を味わうような感覚で、かっこよく働いてもらいたい。