西麻布ビル|素地の良いスケルトン1棟
EDIT
>>LOCATION
夜の街としてのイメージが未だ色濃く残る西麻布。駅からの距離もあるため、どこかツウな大人の遊び場として、軽くは門を叩けなそうな飲食店などが多い印象の場所。
だからだろうか、こんな晴れた午前中からこの街にいると少し違和感を感じてしまうのは。しかし、よくよくこのエリアを歩いてみると、実は飲食店よりも戸建ての住宅の方が多く、昼の西麻布は意外にも長閑。そんな西麻布に新たな顔でお目見えしたコンクリートの建物を見つけた。
>>SPACE
住宅街の一角に立つ3フロアからなるコンクリート打ちっぱなしの1棟ビル。3フロアそれぞれがフルスケルトンのため、設備設置のコストはそれなりに覚悟が必要ではあるが、つるんとしたコンクリートは素地もよく、化粧して隠してしまうのが勿体無いほどだった。スケルトンと聞くと怪しさや薄暗さの様なものを想像してしまうが、ここはちょっと違う。窓も多く、光のよく差し込む室内はかなり爽やかに感じられた。
1Fは飲食店舗のキッチンも想定しているため、床が深く掘られたどっしりと構えた様な空間。2Fは空間の形状も整形で、一面の窓もあって明るく、かなり正統派な雰囲気。3Fはというと、一部天井が斜めになったちょっと異端児的な雰囲気が漂う空間。その窓先には、低層の住宅街と青い空という気持ち良さが感じられるバルコニー付きというピュアさも持ち合わせていた。
いずれにせよ、西麻布、スケルトン空間という少しハードルが高そうな二つのキーワードを感じさせない、健やかで気持ちよさを兼ね揃えた物件だった。
>>HOW TO USE
この建物については、乗り越えるべきハードルが1つある。用途地域の制限上、3Fは部分的に住居仕様を取り入れなくてはいけないという制約があるのだ。建物としては、ベースが心地良い空間であるため、どんな風に作り込んでも満足度の高い空間になることは明白。そんな空間ならば、1F,2Fは店舗やオフィスとして利用しつつ、3Fについては、休憩スペースを兼ねた生活できるスペックを整えてみるのもいいだろう。自宅にいる様にリラックスして働ける場所。なんなら、そのまま寝落ちしてもオフィスの上に泊まれるなら、リカバリーもたやすくできるのではないか。また、西麻布の夜の誘惑に負けて、自宅に帰れなくなっても、「大丈夫、僕たちにはオフィスがある」と安心して遊びにも没頭できるかもしれない。(その後の家庭のことはおまかせします)
オフィスでありながら、自宅の様に居心地の良い空間が備わった建物。言うなれば、スタッフみんなのセカンドハウス。本来であれば、法令の制限によってピンチになり得る状況も、逆転の発想で楽しみつつ、自分たちらしい働き方を編み出してみるのはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
先日、このエリアで最大級のサウナ「テルマー湯 西麻布」がオープン。ほぼ24時間やっているため、西麻布の夜の誘惑に負けて、もしオフィスに泊まらざるを得ない状況が来たら、迷わず駆け込みたい。