代官山オフィス | 最高天高4M超え、個性派1F路面区画
EDIT
>>LOCATION
場所は代官山エリア。八幡通り沿いやT-SITE、ログロード代官山などの、いわゆるおしゃれエリアが思い浮かびやすいが、個人的には一本奥へ入った、穏やかな表情の代官山界隈も好きだ。ぽつぽつと感度の高いショップなどが紛れる住宅地。いつも歩くたびに小さな発見があり、近くに来る際は、あえてこのエリアを歩くようにしている。この建物もまた、そんな発見の一つだった。代官山駅から恵比寿方向へ、クネクネと住宅地を進んで行く事4分ほど。子供たちの賑やかな声が聞こえる小学校の脇に、なんとも雰囲気のあるこの建物を見つけた。
>>SPACE
コンクリートとガラスと緑という、いかにも今風なデザイン性をまとったこの建物。募集はその道路面にある1F部分。見た目から良い予感しかしなかったが、実際に現れたその空間も、もちろん期待を裏切るはずはなかった。
まず入ると、目の前に現れる4M以上ある大きな吹き抜け。現在はロールカーテンのせいでその全貌を感じ切れないのが少々残念だが、これが外れれば、大きな窓面から十分すぎるほど光が入り、向かいの小学校の木々の緑が全面に映しだされるだろう。空間全体は、このインパクトある吹き抜け付きのワンルームとは別に、道路面からも直接アプローチが可能な個室がもう一つ。建物奥には広めの専用デッキスペースも有り難く付いている。一繋ぎの空間でありながら、スキップフロアや天井の高さの違いによって、明確にゾーンは分けられていて、何も家具が置かれていない今の状態でも、容易に使い方のイメージが持ちやすい作り。また、吹き抜けや後ろのデッキ部分のような明るいエリアとは対照的に、真ん中はうっすらと暗め。しかし、そんな明暗が、逆に洞窟や森のような潜んでいる感を演出していて、妙に落ち着く空間だった。
>>HOW TO USE
この空間が優秀なのが、やはり使い方のイメージがめちゃくちゃしやすいということ。吹き抜け部分はオフィスの顔になるようなラウンジや、撮影業務などがあれば、スタジオスペースとしても使える。その先の数段階段を下りたエリアはデスクスペースとして、ここで日常業務を行いつつ、個室はミーティングスペースでもいいし、道路からの直接動線を活かして、倉庫など、バックヤード的な使い方もいいだろう。奥のデッキスペースの他に、実は道路に沿って設置されている細長のデッキ部分が使えるのもこの1Fの特権。ここに椅子やベンチ、なんなら簡単な打ち合わせができるような小さなテーブルなども置いて、天気のいい日にはここに腰掛けて働くのも気持ちが良さそうだ。
良く言えばイメージがつき易く、逆に言えばレイアウトの柔軟性は弱めな空間。例えるなら、おまかせコース一本で勝負している料理店のよう。自由にアラカルトという選択肢はなく、一流シェフのセンスと腕にだけすべてを任せたような、おまかせな空間だが、その部分は実力があるからこそ委ねる事ができると考えればどこかスッキリする。そんな“型”にあえてハマってみるのも、なんかこの空間なら悪くないと思えた。たまに聞こえてくる小学校のチャイムと子供たちの楽しそうな声をBGMに、この空間で、ゆったりと好きなことに没頭して働いていただけたら嬉しい。
EDITOR’S EYE
1つ注意点がある。恐らく気になってしょうがないこの螺旋階段。実はこれ、上には上がれない。というのも、元々は1棟自己利用の建物を無理やりフロア分割しているので、これもその名残り。今はただのインテリアとなっている。また、上のフロアとの境界も曖昧で、半透明の壁からは上の人の気配や話している声なども聞こえてしまうため、プライバシー性が若干弱めなのはご注意いただきたい。