南青山オフィス | 最上階コンクリート表し空間
EDIT
>>LOCATION
青山通りから六本木通りまで抜けていく骨董通り。車や人通りで常に賑やかな印象のある通りだが、そこから少し脇道を入ると、ガラッと環境は変わる。住宅街も混じり合うような静かなエリアで、道ゆく人も多くなく、大型の高級レジデンスや、見た事ないような城のような建物までもチラホラ。立ち並ぶ建物は、今時なモダンデザインというよりは、一昔前のトレンドのような重厚でクラシック調な建物が多い印象。この建物もまた、そんなエリアっぽい重厚でレトロ調でとても落ち着いた佇まいで、骨董通りのちょうど中間にある脇道を奥へ入ると、すぐ現れた。
>>SPACE
募集は3F部分。一見お上品さすらある建物だが、その室内空間は意外な姿でお目見えした。設備系が残されたスケルトン仕様。と、軽くいうとそんな感じだが、イメージする整えられたスケルトンというよりは、かつての身ぐるみを剥がされて、そのままで放置した状態と言った方が正しいだろうか。床は素地のコンクリートが出ているだけで、結構ボコボコしているし、壁も仕上げが剥がされたままの中途半端な状態。かたや写真にはないが、トイレや給湯室は、以前のブライダル系サロンが作り込んだものを、そっくりそのまま残されていて、割とゴージャスな感じ。チグハグな感じで、まだ改装途中?とも思えるような室内だ。
そんな感じの室内だが、惹かれるとこも多い。4方向に多くの窓が連続していて、日当たりも結構よく明るく、窓先の抜け感も悪くない。天井も高くなっているし、床もイジり甲斐のあるコンクリート表しだし、部屋の形も扱いやすくていい感じ。無駄な装飾がない事で、今は素地の良さが際立っていて、そうか!これを見せたかったから、敢えてこの状態にしているのか。そんなプラス思考にすら転じさせてくれそうな、期待値高めな空間だった。
>>HOW TO USE
この荒れくれた状態には理由がある。実は元々、内装を一式リノベーションする予定だったが、工事の過程で諸事情があり、泣く泣くこの姿での引き渡しとなってしまったようだ。そんなトラブルはあったものの、幸いにもこの空間の素地の良さが判明し、むしろ個人的にはこの状態に強く惹かれている。
入居にあたって、まずは内装を作るというのが前提だが、正直それほど作り込む必要もないと思う。例えば、床はこのまま防塵塗装、壁も上から塗るぐらいで、あとは照明などを付け加える程度。ほぼほぼこのままのガラッとした感じを活かして、ざっくりとインテリアや植物などを配置するぐらいがちょうどいいんじゃないか。そんなカジュアルな空間が、まさか正反対とも言える、少しお堅そうな印象の建物の中に隠れているとは誰も思わないだろう。それによって、入った瞬間不意打ちを食わせるようなギャップを演出できるのも、この空間の面白さと言える。
不幸中の幸いと言うか、この空間の素地が良かったことで、“リノベーション中止”という致命的なトラブルが結果としていい働きをしている。人で言うなら、 “もっている”ヤツ。そんな引きの強さと打たれ強さが、どこか人間味もあって憎めない空間だ。
EDITOR’S EYE
1Fエントランスにある電光掲示板も専有で利用可能だという。そこに大々的に会社のロゴをのせたら、PR力は間違いない。また、現在部分的に窓には不透明シートが付けられているが、今回それも剥がす予定なので、道路から見上げた時の見え方もより良くなる予定だ。