桜丘オフィス | 隠れ家的デザインビル
EDIT
>>LOCATION
渋谷桜丘にあるセルリアンタワー。かつてITバブルと言われた時代に渋谷の2大巨塔とも呼ばれ、現在でも渋谷を代表するビルの一つとして未だその存在は衰えていないこのビル。そんな建物のお膝元とも言える桜ヶ丘エリアには、ある意味渋谷らしいごみごみとした街並みが広がる。小さな飲食店や年季の入った建物がならび、変に気を張らずにカジュアルに過ごせるエリアでもある。そんなエリアの一角。セルリアンタワーのすぐ裏手に、今回ご紹介する建物をみつけた。
>>SPACE
少し奥まった場所にひっそりと佇むこの建物。住宅街の路地先に、突如としておしゃれなビルが現れたような感覚で、良くも悪くも周囲に馴染まない浮いた感じが面白い。爽やかで印象のいい外観だが、それに負けずと、その内部にも気持ちのいい空間が広がっていた。区画は2F。シンプルな長方形の空間で、その仕様は至ってノーマルなオフィス仕様といった感じか。そのため、いわゆるデザイン物件のように派手さやおしゃれな仕様ではないものの、そんな事以前に、この空間の気持ちよさやポテンシャルの高さをまずは感じていただけるはずだ。2面の連続窓によって、日中は常にこの空間を柔らかな光が満たしてくれる。ガラスは薄くスモークガラス仕様になっているので、外の植栽がシルエットとして写り、そのシーンも相まって、室内にはとても静かでどこかホッとする時間が流れていた。空間だけではなく、実は機能面でもすごく優秀な作りでもある。窓面のラインに沿って置き型の空調が備えられており、暑い日でも寒い日でも、瞬間的にその室内を快適な空間へと整えてくれるれるだろう。また、トイレなどの水回りは奥にスッキリまとめられているが、実は契約面積にこの水回りは含まれていないので、約60坪の面積をフルで使えるというのも嬉しいところだ。
>>HOW TO USE
室内には周辺環境の音もほぼ入ってくることもなく、とても静かで穏やかな時間が流れる。見た目はオフィスだが、その空間の質は、どこかというとアトリエに近いかもしれない。そのため、あまり業種を制限したくはないものの、この空間はデザイン会社などクリエイティブ作業に没頭する会社にとても合っていそうだ。ギュウギュウに人を詰め込んでガツガツと働くよりかは、少しマイペースに、空間にも余裕を持たせてゆっくりとアイディアを絞るような場所。すごく感覚的なものだが、きっとこんな空間にいるだけで、なにかいいアイディアが生まれるだろう。欲を言えばさらにこの空間を作り込んでほしい。元のポテンシャルが高いため、大きく手を加えずともレベル高い空間にはなるだろうが、せっかくなら現在の「なんとなくいい空間」から、「圧倒的にいい空間」へ徹底的に作りこむ事で、そこで働く時間へのモチベーションもさらに上がることだろう。
EDITOR’S EYE
本文では触れなかったが、入り口左側に一部2層分の吹き抜けがある。これは、もともと上の階と繋がっていた時の名残で、現在は3Fのシャッターを閉じて明確に分けているので安心してほしい。むしろこの天井高を利用した使い方なども考えられそうだ。少し奥まった立地にあるため、最初は探し出すのに少し戸惑うが、そのガラスの建物を見つけたとき、ちょっとした嬉しさを感じるだろう。