代官山オフィス・店舗|スケルトン空間
EDIT
代官山駅よりほんの数分。キャッスルストリートと八幡通りをつなぐゆるやかな坂を登り始めると、間もなくして右手に建物への入り口が現れる。路地のようなアプローチと、その先にちょこっと顔を出すグレーの建物。昨年末に完成したばかりの新築の建物で、その絶妙な身の潜め方がどこか愛くるしさすら感じさせる。路地を一本入ると面白いショップや建物が展開していくというのも、どこか代官山らしさもあり、それをあえてそれをイメージしたような空間がこの先に広がっていた。
建物はB1-3Fまでの4層の作りで、外階段を囲うよう、L字の空間が上下に展開する。今回は建物の顔とも言える1階部分の紹介で、この建物を訪れた人がまず目にする大事なポジションと言えるだろう。室内は水回りや空調などの無いスケルトンの箱。天井も比較的高めに設定されており、L字の構成は奥行きと空間の流れなども感じさせる作りだ。空間唯一の装飾と言えるのが、大きな開口面から望む日々の自然の移ろい。階段中央に植えられた大きな木は、今後より成長してゆき、もしかすると数年後には窓先一面緑になってしまうかもしれない。元々緑を感じられる空間というコンセプトの元に誕生したこの建物は、必要のない装飾は削り、純粋に日々の自然の移ろいが感じられるよう設計されている。
元々店舗を想定した区画の為、オフィス兼用のショップなど、様々な使い方をミックスしても面白いかもしれない。スケルトンの空間なので、室内を作り込む事を考えるとオフィス単体の利用よりは現実的と言えるだろう。建物自体、路地がそのまま空まで回転しながら続いていくようなデザインで、それぞれの空間は路地の延長上でもあり、子供の頃に偶然見つけた秘密基地のような懐かしさすら感じられる。もちろん今後空間をどう作るかによってまったく雰囲気などは変化すると思うが、この物件が持つ特有な居心地を活かして、豊かな自分だけの豊かな環境を整えてみてはどうだろう。
EDITOR’S EYE
周辺には2015年にオープンしたログロード代官山を始めとした施設やショップ、小洒落た飲食店などもあり、働く場所、一時のオフを楽しむ場として魅力的な立地だ。主要駅へのアクセスは強い訳ではないか、あまり出入りのない業種であれば、あえて豊かな環境に身を潜めてみても良いかもしれない。