野沢オフィス・店舗 | デザイナーズ戸建タイプ
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世田谷区は野沢三丁目。渋谷区と港区の中心に物件をご紹介している当サイトにとって、世田谷区はあまり馴染みのないエリアではある。最寄りの学芸大学からは徒歩13分と、正直なところ立地的には良いとは言えないだろう。ではなぜ撮影に足を運んだのか。それはもちろん、立地を補って有り余る魅力がこの空間にあると思ったからだ。
3フロア+屋上付きの一戸建て。写真を見ていただければ、空間の特異性は一目瞭然だろう。もともと若い夫婦の為に建てられたという住宅は、竣工から30年以上経った今も、色褪せることなく素敵な空間だった。ガレージとして使われていたRC素地仕上げの1F部分は、新たに設けられたパーテーションにより、ショーウィンドウや店舗として使い方も検討できるだろう。奥にある赤銅色の扉を開けて2Fへ上る途中の踊り場には、ガラス張りのサンルームが設えられている。一角には流し場も用意されているので、植物を育てるには適した環境と言えるかもしれない。LDKの2Fは、床に玄昌石が張られた極めて個性的な空間だ。向かい合う開口の一方は、素材感の異なるシルバー塗装の壁面をバックに傾いているし、備え付けのダイニングテーブルは途中で折れ曲がり、足元をコンクリートで固められた鉄骨によって支えられていた。スライド式の扉を開けてさらに階段を上ると、25㎡ほどの3Fにはモザイクタイル貼りの水廻りと、少々趣の異なるカーペット張りの白い空間が用意されている。
随所にこだわりの散りばめられた空間は、30年の時を超えて今なお先鋭的な印象さえ感じられた。立地等の条件を考慮してもこの個性的すぎる空間性を目の当たりにすれば取るに足らない問題と思えるかもしれない。是非一度足を運んで、ご自身の目で確かめて頂ければと思う。
EDITOR’S EYE
実はこちらの物件、竣工当時に多くの建築雑誌で特集を組まれており、デザイン性の高さについてはお墨付きとも言える空間だ。インテリアや置き家具については、不要であれば貸主側で撤去して頂けるが、そのまま引き継ぐことも可能とのこと。オフィスとしても店舗としても利用者の想像が膨らむ物件だろう。