渋谷オフィス・SOHO | 居抜き個性派空間
EDIT
渋谷と恵比寿、表参道と代官山をつなぐ並木橋の交差点から表参道方面へ坂を上ると、趣のある表情でこちらを眺める建物がある。原宿・表参道界隈に点在するレジデンスシリーズの1つでもある当建築に、これまで重ねてきた時の深みを感じさせる魅力的な空間が眠っていた。
玄関を開けると、正面にはドラム型洗濯機を収めた白いキッチンカウンター。左右の壁ではアンティーク調の棚と小窓のついた朱色の木製扉が、並々ならぬ色気を放っていた。スケルトン仕上げの天井には竣工当時から変わらないコンクリートの表情が白ペンキ越しに透けて見え、床では色味の深いフローリングが窓からの光を照り返す。そんな、なんとも味わい深い空間に心を奪われそうになりつつ、突き当たりにある個室の扉を開けると、南窓から光を浴びるバスルームがある。モルタル仕上げの壁と古美術に囲まれて猫足バスタブがぽつんと置かれているというこれまた素敵な演出に、思わず口元が緩んでしまった。
メインルームは48㎡ほどの面積があるが、部屋の中央に腰を据えるキッチンや、枕木を組んだような分厚い天板の木製テーブル、後ろにある黒いバーカウンターなど、空間を特徴付けるアイテムたちのおかげで有効面積的にはある程度限られてしまうだろう。人数的にはおそらく5〜6名ほどで精一杯というところだろうか。個人的には内装にはなるべく手を加えずに既存のアイテムを上手に使いながら、レイアウトを考えて頂ければと思う。前入居者のこだわりが随所に感じられるこの空間で、それぞれの素材が積み重ねてきた時間の重みを感じながら、企業として新たな時間を歩んでみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
枚数の都合上あいにく写真はないが、朱色の木製扉の内側にはシックなモノトーンのトイレが収まっている。その隣には広めのウォークインクロゼットも用意されており、ストックヤードとしても十分活用することができそうだ。もともと住居として使われていた空間は、スペックとしては至れり尽せりと言って良いレベル。きっと入居者を手厚くもてなしてくれることだろう。