EDIT
馬込文士村。
大森駅西口エリアの山王、馬込地区は大正の終わりから昭和のはじめにかけて、数多くの文士・芸術家が居を構えた場所だ。このエリアでは散策マップが作成されているほど、時期が違えど約40人ほどの文士たちが、この狭いエリアに住んでいたという。
関東大震災のあった大正12年、このエリアの被害は比較的少なく、田園風景も多く残っていたことが多くの文士たちが惹かれた理由のひとつではないかと言われている。現在は住宅街となり当時の風景が残っているとは決して言えないが、文士の感性を刺激する場所だと知れば、その空気に浸かって仕事をするのも良いと思える。
その空気に十分浸りながら住宅街を歩くと、立派な門構えが印象的なこの物件にたどり着く。要塞のようなその第一印象に、オリジナリティーに富んだ働き方が追求できそうな予感すら感じる。
門をくぐるとエントランスまでのアプローチの庭がある。家として借りれば何の変わり映えのないスペースだが、オフィスとして使うとしたら、どのようにしようか。人が常に行き来する場所だけに、あまり雑然とさせたくない。リラックススペースは屋上のテラスで十分。であれば、ギャラリーとして使ってみる。屋上テラスから見下ろす庭がちょっと変わった演出がされているのはどうだろうか?
アイデアを試したくなる物件だ。
EDITOR’S EYE
歴史上の文士たちの感性を信じて、こんな住宅街でクリエイティブに集中するのも面白い。駅から少々離れるが、城のようにも見えるこの物件。自分たちだけの城で働くと考えれば、少し辺鄙な場所にあるのも大事なポイントのように感じる。