EDIT
表参道の交差点を背に、ハイブランドが建ち並ぶみゆき通りを進む。日々の通勤や来訪者へ道を説明する際、青山の中でも好感度が高いこのストリートを通るルートというのはちょっとした自慢と言えるかもしれない。そんな事を思いつつ道なりに進み、根津美術館の交差点を乃木坂方面へシフトすると、間もなくして見えてくるヴィンテージマンション。いい具合にヨレたこの渋い建物は、前々から気になっていたが、今回その一画に空きが出たという情報を聞きつけ早速駆けつけてみた。
建物内には建設当時から使用されているレトロな建具や家具などが多く残されており、一昔前にタイムスリップしたような感覚さえ与えてくれる。こういうレトロな建具が付いてくるのも、ヴィンテージマンションならではの楽しさと言えるだろう。紹介区画は2階の角部屋。木製のヴィンテージ扉を開けると、室内には濃い目の木と白い壁が絶妙なコントラストで交わる空間が広がっていた。時間を掛けてじっくりとローストされたような、奥深い味わいのある空間。一言で言えば、「渋い」。これに尽きるだろう。これが元々の作りなのか、それともどこかのタイミングで意図して作られたのかわからないが、建物の世界観にとても合っているように感じる。室内は1LDKの住居タイプといった作り。メインとなるリビング部分の形状から考えると、せいぜい2〜3人程の机がギリギリだが、少人数制のワークスペースとしてなら問題はないだろう。
使い方は様々考えられるが、オフィス単体というよりは、SOHOという使い方がこの部屋には合った使い方に感じる。ワンフロアーではワークスペースとプライベートスペースの線引きが悩ましいところはあるが、例えば夫婦2人で仕事をしている方などなら、双方のスペースを明確に分けずともストレスフリーに働けるだろう。恐らく好みの分かれる万人受けとは言えない空間だが、うまく時を重ね、薫りと深みを増したこの空間を一度見てみてはどうか。
EDITOR’S EYE
相場に対し賃料はだいぶリーズナブルに設定されている。とは言え、室内の水回りなどもいい感じにリノベーションされており、古さ故の使い勝手の悪さなどは感じないだろう。エントランス横にはレトロな家具が配置された談話室のような部屋もあり、仕事の打ち合わせなど状況をみながらこの部屋を使う事も出来そうだ。