EDIT
外苑前駅を下り、青山通りから通称“キラー通り”を千駄ヶ谷方面へ進む。通り沿いには人気のある植物屋さんや雑貨店などが建ち並び、時間が空いた際は息抜きにふらっと散策を楽しめそうだ。実は建築の面でも面白い通りと言える。スイスの著名建築家がデザインした有名なワタリウム美術館や、狭小住宅の先駆けと言われる塔の家などもあり、建築を学ぶ人なら1度は訪れるべき通りだ。そんなストリートからちょっとだけ奥まった場所に、ひっそり佇む彫刻的なフォルムの建物。こちらも著名な建築家がデザインした建物のようだが、その上層階に今回空きが出たので紹介する。
区画は3〜5Fの3層トリプレット。テイストが異なる3つの空間が縦に展開し、それらを螺旋階段が緩やかに繋いでいた。各フロアーは割とコンパクトなスペースな為、それぞれ2〜3人ほどの使用がベストだろうか。コンパクトではあるが、2面の大きな開口や天高のおかげで空間の窮屈感は感じない。むしろ螺旋階段の開口部も相まってか、奥行きも感じられ、なかなか開放的で気持ちの良い空間だ。日当りも良好で、窓からはポッカリ空いた遠くの風景まで望む事が出来る。網入りガラスなのが少々惜しいところだが、それを踏まえても魅力的な開口部と言えるだろう。正直、機能面だけみれば同等サイズのワンフロアーに比べ有効面積が小さいなどマイナスな面はある。しかし、小さな空間が3つ繋がるというのも、これはこれで面白みも多いように感じられた。
縦ラインを生かし、3つの空間をどう展開していくかイメージを膨らませてほしい。ベーシックなのは、1層目に打ち合わせスペース、2層目にワークスペース、3層目は鶴の一声で社長室という感じだろう。しかし、例えば2部屋にギュッと機能を集約させ、一つの部屋を緑でモリモリにしたガーデンを作ったり、下を店舗、上部をワークスペースとして使ったり。また、遊牧民のように気分によって上下を移動する事も考えられる。各フロアーで異なる世界観の内装に作り替える事も出来、想像だけでも十人いれば何十通りもの空間のイメージが生まれるだろう。小分けというメリットを引き出し、様々な使い方を想像してほしい。
EDITOR’S EYE
建物内には、1階にモダンなテイストの飲食店、2階にはスタジオが入る。エレベーターが無いため、5層分の階段を日々駆け上る事になるので、体力勝負な面は予め共有する。しかし、内階段のような何の変化もない階段と違い、カーブした外階段や螺旋階段など、上り下りが苦とならないように変化を感じるようプラングされているように感じた。