EDIT
>>LOCATION
表参道ヒルズのその裏手には、表の賑やかな顔とは全く違う、穏やかなエリアがある事を知る人はそう多くはないだろう。ヒルズ角の交番脇を折れ街の奥へと足を進め、ショップと住居の混在する通りを抜けると驚く程閑静な住宅街が現れる。そんな住宅街の最深部、元原宿中学校脇の旗竿地に今回の一棟は建っていた。
>>SPACE
少々奥まった場所にはなるが、どこか厳かな雰囲気のあるドアを開けると、白い壁や淡い床材と光が入り交じる、クリーンな空間が迎えてくれた。POPな雰囲気では決してなく、むしろ神聖な空気感を感じるのは、木部の色合いのせいなのだろうか。建物はシンプルな4LDK+視線の抜けの良い屋上付きで、地下からルーフトップまで含め上下5つのレイヤーに分けられた空間。何よりも印象的なのが、纏まった広さを確保した明るいLDKスペース。吹き抜けやテラス、空間のアクセントとなる格子越しに射し込む光が、LDKをハブにして各フロアを繋いでいるように感じられた。
周囲を建物に囲まれた立地ではあるが、障子越しの間接光や吹き抜けなど、各フロアへの光の取り入れ方には苦心の跡が見受けられるだろう。
>>WORKSTYLE
元々が居住用の戸建てという事もあり、各スペースの使い方には検討が必要だ。エントランスより近いB1F/1Fの空間は来客用のスペース、トップライトより光の射し込む気持ちのいい3Fの空間は、集中し篭れる空間としても良いかもしれない。開放感のあるLDKはメインのワークスペースとして使うもよし、または憩い集う団欒スペースとして使うもよし。どちらにしても柔らかい光の集う空間に、自然と人は集まり一体感を生んでくれるだろう。
この建物のLDKの様に、親しい仲間や家族が集まる「HUB」としての役割を担う場所が確保できれば、「住む場所」や「働く場所」を敢えて細かく分ける必要はないのかもしれないと感じた。
EDITOR’S EYE
内向きな自分と向き合い、仲間と交わる。フロア毎に上手く区切られた空間によって、とても良いバランスを取る事の出来る物件である。何かを創りだす作業にはもってこいなのかもしれない。