EDIT
表参道の交差点から渋谷駅の方へ少々。青山通り沿いでも一際存在感を放つスパイラルの脇にこの建物はある。窓からみえる昼夜断続的に行き交う車や人々は、街並の背景効果か、どこかおしゃれさすら感じるから面白い。目線は2階、窓際に進めば隣にスパイラル、斜め前にAOビルを望む青山らしいロケーションでこの空間は次なる入居者を待っている。
元々トルコ料理屋さんというこの空間。飲食店の後という事もあって、きっちりスケルトン仕様という状態。それならば店舗として、、といきたいところだが、2Fまでのアプローチが少々弱いため、目的性が強く求心力のある入居者でないとなかなか検討のハードルは高いだろう。しかし、オフィスやショールームとして考えてみると、意外と相性の良さを感じる部分も多い。荒っぽいコンクリートのビジュアルは出来るだけ生かしつつ、真っ白な空間へと切り替える。元々調理場であった段差も、撤去するには費用も嵩むため、それであれば段差を土台とし、いかに活用するかを考えて頂きたい。全体的には側面に窓が多く、縦に伸びた空間のため、その開放感を断絶してしまうのはもったいない。それであれば、打ち合せスペース等に壁などを設けず、その段差で空間を区切ってみてはいかがだろうか。壁がない打ち合せスペースとして、少々高めの目線からオフィス全体を見下ろすことができるというのもいいだろう。みられる前提であれば、オフィスも綺麗にカッコ良くと気持ちが引き締まり、働く姿勢も少々背筋が伸びる気もする。程よい緊張感があるからこそ、オフィスは綺麗に保たれ、来客の際には気持ちよく挨拶をする。こんな企業が青山通り沿いにあれば、対外的な印象も良くなることだろう。
そうは言いつつも、お客様に全体を見せるのは、、ということであれば、目立ちたがりのスタッフや、激を飛ばす上司に譲ってあげてもいいだろう。そのポジションにいる事で自然とムードメーカーとなり、平坦のオフィスではなかった雰囲気が作れるかもしれない。
また、ショールームにおいてもこの段差は生きるのではないだろうか。ちょっとしたショースペースとしてスポットライトを傾け、取扱い商品に脚光を浴びさせる。その前を打ち合せも出来るラウンジとしたら打ち合せもしやすいことだろう。
いずれにせよ、通常ないものがあるのであれば、それを生かすに限る。普通に考えたら厄介な存在も、この程度の段差であれば、この空間を引き立てるイカす段差になりうる。こういう工夫が加わる事でよりいっそう空間に対する愛着も加わり、良いオフィスとの付き合い方が出来ることだろう。
EDITOR’S EYE
青山通り方向の窓からの景色は表参道で働いている!という気分にしてくれる景色。ちょっとくぼんだスペースでもあるため、この空間の特等席にもなりうる。先程の段差と、青山通り沿いのそのスペース。特等席が2つあると思うとなかなかない物件にも思えてきませんか?