EDIT
住所は渋谷区宇田川町。この建物は、丁度建て替え計画の進む区役所脇、宇田川町エリアの北側境界部分にある。渋谷駅前の賑わいから離れたこの周辺は、税務署や区役所、通りの向かいにはNHKがあるなど少々おカタいイメージもあるが、少し足を伸ばせば、前回の東京オリンピックの競技会場としても利用された丹下健三設計の代々木体育館や、週末にはイベントで賑わいをみせる代々木公園も届く距離にある。若者のイメージが強い宇田川町エリアの中でも、文化と歴史と自然を、バランスよく取り入れられる中立的な立地と言えるだろう。
募集区画へのアプローチは、趣ある蕎麦屋とモダンなサンドウィッチとおにぎりのカフェという古今東西×和洋折衷の間にある扉からと、なかなか面白い演出がかかっている。この空間は、その先にある飾り気のない15坪ほどのコンパクトなワンルームだが、窓からは通りへ視線が抜け、街路樹の緑も楽しめる。3Mを超える天井高も相まって、このサイズ感としては窮屈さはそれほど感じられないだろう。モルタル仕上げの床のひび割れは、色気のある空間演出に一役買っていた。
水回りをコンパクトにまとめた空間は、きわめてシンプルな構成。レイアウトはもちろん、どんなインテリアも選り好みなく受け入れてくれることだろう。小さいながらもストックヤードがついているので、ワークスペースに置く収納棚には空間の魅力を演出するものを並べたいところだ。また写真ではわからないかもしれないが、壁面の高い位置には等間隔で釘が打ちこまれている。コートや帽子を掛けたり、絵画やポスターを紐で吊るしたりと自由に使いこなして頂ければと思う。ちなみに天井のライティングレールと照明は残置となる予定。お好みのスポットライトをぶら下げて、魅力的な空間を演出して頂ければと思う。
Ph7。それはどちらにも偏らないニュートラルな“中性”を意味している。渋谷という街において、この立地そしてこの空間はかなりニュートラルな場所と言えるだろう。落ち着いて街を見渡せるこの空間で、世の中とのバランスを見極めつつ、自らのクリエイティブを発信してみてはいかがだろうか。
EDITOR’S EYE
店舗としての利用はできないが、ギャラリーを併設したオフィスなどは検討できそうだ。同フロアには洒落たカフェやレストランが入居しているので、レイアウトの参考に訪れてみるのも良いだろう。