EDIT
恵比寿駅に降り立ち、今なお多くのアーティストが歴史を刻むリキッドルームを通り過ぎて明治通りを渋谷方面へ。その途中、山種美術館方面へ交差点を曲がってすぐのところに、ガラス張りの曲面ファサードに空を映し出す個性的な建物を見つけたのでご紹介したい。
ピロティから外部階段で2Fへ上がり、幅1.3Mの重厚なエントランス扉を開けると、迫力ある空間が飛び込んできた。最大天井高3.5M、150㎡を超える躯体むき出しの荒々しいフロアには、ファサードを形成する巨大なガラス面から柔らかな光が流れ込む。窓からは街並みのみならず、明治通りを行き交う人や車の流れも見渡せた。そんなダイナミックな空間の特徴の一つは、フロアをジグザグに横切る高さ200mmほどの段差だろう。構造スラブがそのまま露出したかのような断面は、なぜか魅力を感じてしまうから不思議だ。
飲食店としての利用を想定したこの構成は、一般的には段差を揃えてフラットに使うことが多いだろう。その段差をあえて残し、レイアウトの手掛かりとして活用することで、自由度の高いスケルトン空間はオフィスとしての利用も検討できそうだ。たとえば、天井高を有効活用して、あえてさらに段差をつくり、スキップフロアごとに各スペースを分けることで、フロア内で上下に動き回れる立体的な空間としてみても面白いかもしれない。もともと段差がある曲面ガラス周辺は、段差に腰掛けて街並みを見渡せるラウンジにしてみても良さそうだ。水廻り設備のレイアウトに際しても、床が低いエリアの中であれば、自由に配置できることだろう。
個性的な空間構成を活かして、普通のオフィスでは叶わない働き方を楽しみつつ、企業としてさらなる高みを目指すステップとして、この空間を使いこなして頂ければと思う。
EDITOR’S EYE
ささやかながらバルコニーもついており、明治通りをせわしなく行き交う車の流れを傍観しながら一息つくのも良さそうだ。立地的には渋谷駅と代官山駅も徒歩10分ほどで届く距離の当物件、その日の気分でアクセスを使い分けて、お気に入りのショップを探してみるのも面白いかもしれない。