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青山通りと六本木通りを斜めに繋ぐ、通称”骨董通り”。かつては骨董品店が多く建ち並んでいた事でその名で呼ばれるようになった。また、その時代には都電も走っており、古くから商業の街としても栄えた歴史ある通りだ。今では多くのアパレルブランドや海外の食文化が日本進出の先駆けにするなど、世界からも注目される街へと変わりつつある骨董通り。そんな一画に、小さいながらも力のある空間があったので紹介する。
建物2階から、自らを主張するかのように大きく口を開けたこの物件。個性的な形をした2つの窓はどことなく愛嬌すら感じさせ、道行く人の目を惹くだろう。このファザードなら室内も気になるのは自然の流れ。アプローチを抜け、すこし胸ときませながら扉を開けると、室内にも期待を裏切らない空間が現れた。それほど大きな部屋ではないが、その分幾何学な窓がより空間に引き立つ空間。天高もあり、明るく、なかなか開放的な室内となっている。出窓面に立つと、180°骨董通りの風景を望め、逆にマネキンの大変さを味わえるほど外からの視線をヒシヒシと感じる。良いのか悪いのか、どこかこの通りを支配したかのような不思議な自信与えてくれる窓際だ。そんな窓際の天井は一部鉄骨造となっており、隣り合うコンクリートとのレイヤーがなかなかいい味をだしている。これを活かして室内の内装を作るのも一つの手かもしれない。トイレなどは共有部にあるが、キッチンなどはないので必要であれば設置をお願いしたい。
せっかくなら、この通りを歩く誰もが振り向くような空間に仕上げてほしい。最低限の塗装等でザックリと仕上げ、ライティングで空間を演出するだけでもベースは整うだろう。オフィスのみでは少し強引な賃料設定ではあるので、ショールームや店舗も兼ねた使い方が必要となるだろう。そしてその役割を果たすには、外からの目線がより重視されるため、2つの特徴ある窓の先にあるこの空間がどの様に映るかを最優先に考えてみると、意外とこれまで想像もしなかった面白い空間が閃くかもしれない。仕事と同じように、視点を少し変えるだけで急に空間は面白みを増すのではないだろうか。もちろん、少々無理してでもオフィスとしてこの視認性の高い窓とロケーションをゲットしたいという強者も募集だ。
EDITOR’S EYE
区画への動線は少し奥まっているため、店舗としては少し弱く感じてしまう面も感じる。しかし、オフィスや目的性を強く持たせた店舗使用なら逆に面白く映るだろう。室内は手を加える事から始めなくてはいけない為、手を焼かす存在でもあるが、それが返って愛着となるかもしれない。少し長いスパンで考え、空間をじっくり作ってはみてはどうだろう。