EDIT
目黒駅を降り立ち、アルコタワーに向かって急な坂道を下っていく。目黒川を渡り、川沿いを歩くとすぐに、ヨットの帆のような形の建物を見つけることができる。趣のあるレンガの外壁のその建物は、まるで時間が止まっているかのような独特の雰囲気を持ち、また新たな始動を待ち構えているようだった。
募集は地下1階から5階までの一棟。室内はスタンダードなオフィス仕様といったところだが、高めの天井と窓の造りからやや無骨な印象を受ける。また、上階に行くほどスペースは小さくなり、屋根の形に沿って傾いた壁がなんとも不思議な空間になっている。窓はそれほど大きくはないが、目黒川を望むロケーションが見どころだろうか。
せっかくの一棟を借りるチャンスなので、ぜひ改装を前提に検討してみて欲しい。全体的にがらりと変えることも、的を絞って造り込むこともできるので、予算とアレンジ次第で劇的に建物のパフォーマンスを高められるのが一棟を改装できる醍醐味と言えるだろう。
例えば、会社の顔となり、ゲストをもてなすエントランス周りやミーティングスペースは造り込んで演出する。それに対して、スタッフが長い時間を過ごすオフィス部分の改装は、最低限であっても天井の高さを活かしつつ居心地よく過ごせるようにスペースに余裕を持たせて配置してみてはいかがだろうか。
またせっかくなので、ワークスペースだけでなく、社内外のコミュニケーションラウンジや大きめのキッチンのある社員食堂など、スタッフに嬉しい特典を用意してみてはいかがだろうか。
フロアが複数に分かれる分、うまく使いこなせるかどうかはアイディアとそこで働くスタッフ次第。すこし大げさかもしれないが、どう使えるかが今後の会社の方向性を決定づけるものにもなりえるだろう。大きな舵取りのタイミングを、レイアウトやインテリアの工夫や見せ方だけではなく、スタッフみんなで場の使い方や働き方のアイディアを創発し合い、自分たちの会社らしい新たな試みを行なうチャンスと捉えてみてはいかがだろうか。きっとそういったコミュニケーションの先には、オフィスの場所が変わったという事だけにとどまらない、新しい視野や可能性が広がってくると考える。
EDITOR’S EYE
目黒駅からの道のりの途中にある、目黒雅叙園には知る人ぞ知るどぎつい豪華絢爛の空間が隠れている。個人的な趣味だが、あの非日常的といっても過言ではない特異な場はぜひ一度は訪れてみて欲しいと思う。