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代官山と渋谷の中間あたり、代官山駅からは蔦屋書店を越えて5分ほど歩くと、レトロで味のある雰囲気の小ぶりなビルがある。
リノベーションビルとしては知る人ぞ知るというこの建物、経年変化で風合いが増したタイル張りの外観は、定期的に改修され所有者の愛着を感じられる。
募集しているのは3階の一室で、建物のエントランスから階段を上り、部屋の入り口まで、リノベーションされつつも、ところどころにレトロでかわいらしい照明やポスト、アートが飾られていて遊び心がくすぐられる。
室内は2名程度でちょうどよいサイズ。天井はスケルトンでスチールの吊り照明と間接照明がついており、床はラワン合板に塗装でざっくりと仕上げられている。トイレとミニキッチンは各部屋についており、共用にはシャワールームもあり、とことん働く機能もばっちり備わっている。
この空間は内装の完成度を高めて仕上げていくよりも、入居者の使い方次第で場の雰囲気がダイナミックに変化していくような余白があるように思う。独立したてのこれから新たな世界観を造りあげていくタイミングで、室内も同じように工夫を凝らして世界観を表現できるような実験の場にしてはいかがだろうか。
必要最低限のオフィスを最大限活かす方法は、機能を外部化することではないだろうか。近くにはミーティングのできる雰囲気の良いカフェがあり、参考資料が集まる書店やショップも数多くある。アイディアを頭の隅に置いたまま近くを散策してみる。行きつけのカフェでいつもと違うメニューをオーダーしてみる。どこにアイディアが生まれるきっかけがあるかわからない。
同じようなサイズ感での選択肢としては、シェアオフィスもありえるだろう。しかし、ここでは魅力的なまちとの付き合い方で新たな刺激や情報を収集できるので、仕事に没頭できるプライベートスペースとしてお勧めしたい。どんどん更新されていく働き方やオフィスのアイディアを蓄積するようなデータベースとして、ノイズの入りにくい自分だけのオフィスをお好みの方には貴重なサイズ感ではないだろうか。
変化し続ける街にあるレトロなお気に入りの建物、居心地が良すぎて逆に籠りすぎないように、敢えて外のカフェや街のスペースも働くリズムに取り込み、オリジナリティある働き方を実現していただきたい。
EDITOR’S EYE
入居者はクリエイターやデザイナーが多く、みな小規模な事業者なのでちょっとしたコミュニケーションやコラボレーションも期待できるかもしれない。