EDIT
四季折々で違った表情を見せる新宿御苑。都心にぽっかり空いた緑豊かな空間は、わざわざ遠方からでも足を伸ばしたい公園だ。そんな環境に隣接する今回の物件は、最寄りの代々木駅から5分程。新宿からも徒歩圏内にあり、比較的アクセス良好な場所に建つ。少し奥まった場所に建つが、初めて訪れる人もきっと迷う事のないほどの存在感を放っている。その緑の髭をまとったレトロな建物は、どことなく貫禄すら感じさせる。
生い茂る緑に包まれた1-2F部分が今回の募集区画だ。入り口はピロティーを抜けた先にある。屋外には珍しく、このスペースの天井には風合いの良い木材が張られており、室内にいるような不思議な感覚になる。エントランスから設計者の手腕を感じさせてくれる建物だ。室内は、上下で大小3部屋に分かれており、オフィスとして使い勝手の良さそうな構成となっている。壁や天井はコンクリート打ち放しで、時代を感じさせるパネル割が空間に良い味を出している。窓枠には上質な木製枠と障子戸がはめられており、コンクリートとのアンバランスさがまた面白い。同様に備え付けの家具や建具もレトロな木製で作られているので、これをうまく使いつつも、新たな家具で混合させてみるのも良いだろう。古き良きモダニズム空間といった作りのため、現代のようにサンサンと光が入る空間では無いが、その分静けさのある落ち着いた空間だ。
全体的に素地は良いように感じる。だが一方で、タイルカーペットや照明など、現代のオフィス仕様に整えられてしまっているのがもったいない気もする。例えば床を濃い目のフローリングに変えてみたらどうだろう。ギュッと空間が引き締まり、渋目の味のある空間に変化しそうだ。また、部屋ごとに素材を変え、空間のテイストを変えてみても面白いだろう。さらに照明でより空間を演出する。スチール製のペンダントライトで柔らかくもハードめに攻めるのもアリ。和紙などで作られた照明で、さらに和の空間を演出してみるのもアリ。恐らくこの物件で手を加えるとしたらその2カ所だと思うので、存分に楽しんでいただきたい。想像すれば想像する程、この空間の深みにハマっていきそうな物件だ。これが歳の深みと貫禄だろうか。
EDITOR’S EYE
このようなテイストの空間はなかなか珍しいように感じる。和でもなく、洋でもなく、古くもモダンでもないような。むしろそのどれにも当てはまるような、どこか不思議な空間だ。ついでにピロティーの駐車スペースをセットで借りるのも面白い。そこをテラスとして、普段はベンチやテーブルなどを置き、ブレストやみんなの休憩の場に使用する。現代の整ったオフィスに物足りなさを感じる人には是非。