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エリアとしては富ヶ谷周辺。代々木上原から徒歩10分。東北沢、駒場東大前など、徒歩圏内の駅は複数となる。ご近所にはBUNDAN COFFEE&BEERや、コーヒーの豆や焙煎方法にこだわったスタンド、有名なインテリアのショールーム等々、実はディープなスポットが点在しているエリアでもある。そんな贅沢なエリアに建つマンション。その1F部分、ポテンシャルを秘めた空間が広がっていた。
この区画内は、スペースが雰囲気により3つに分けられる。まず、視認性の高い入ってすぐの白壁の間。天井は約2.8m。床はコンクリート打ちっぱなしで、そこかしこに感じられる使いこなされた感が中々渋い空間。2つめの空間は、一部の壁を木で仕上げているので、どこか暖かみがある使用感が残る空間。そして最後は、グレーの空間。奥まった位置にある分、自分自身がバックヤードといわんばかりの、謙虚さやひっそり感が漂う。まるで自分がどんな可能性に満ちているのかをまだ知らない様子だ。
この物件は、ご覧の通り、未改修のままで使いこなされた使用感が漂う物件。ただ、なぜかそれがこの空間の魅力に感じる不思議さがあった。
オフィス兼アトリエ兼ギャラリー、はたまたオフィス兼ショールーム兼資材庫などなど。現状でそのまま使いたいという方には、奥の部屋は作業場か、資材置場やストックルームとして使うのがよさそうだ。逆に、アートや、工具を使ってなにか作るための作業場を見せ場とし、一番手前の空間に持ってくるのもおもしろいだろう。そうすると、何かここではいつも面白そうなことをしている、と巷でささやかれ、まだ見ぬ何か新しい試みの発信地となり得るかもしれない。
入居時には空間を一新する事も良いだろう。でも、改修などでは演出する事ができない、この物件のLOGである使用感をあえて残し、経年を味わってみる事もお薦めしたい。最低限の手入れは自分たちで行い、挨拶代わりにこの空間に残る経年と向き合ってみる。きっとその作業は、知らない誰かが過ごしたこの空間への愛着も見つけ出し、自分たちにとってかけがえのないワークスペースになっていくのではないだろうか。
EDITOR’S EYE
空間の中央部分に位置する木の壁面の空間。そこに前テナントの残置物であるワークランプが壁に取り付けられている。これがまた小屋にこもっている職人を彷彿とさせるようで、個人的にはわくわくポイントでもある。