EDIT
渋谷駅と表参道駅からのアプローチがある六本木通り沿いの建物。両方の駅とも10分超歩くので、決して恵まれた立地とは言えないかもしれないが、交通量の多い道路から丸見えのこの空間は、そこにいるだけで、まるでステージでも立った気分にさせられる。採光と視認性は良好。夜の車の流れも見てみたいという衝動に駆られる、印象としてだが、なんともなくエンターテイメント性の感じるロケーションだ。
今回募集するのは、2014年9月に竣工を迎えたばかりの、新築2階部分。室内にある階段を上がると、ピッカピカの一点の曇りもない真っ白な空間が待っていた。道路に面した側には目一杯に開口がとられており、その反対側の壁は一面ミラー貼りだ。外から差し込む陽の光が、白い石床と鏡に反射して、照明もいらないほど気持ちのいい明るさを保ってくれる。歩道脇にたたずむ街路樹は、それだけでもちょっとした癒しを与えてくれる。開口部の黒は空間を引き締め、白い円筒柱は空間を立体的なものにしてくれているように思える。内装は元々ショールーム向けになっており、開口部は車を入れられるほど大きく開くことができる。実は1階は高級車が並ぶショールームで、通行人がその車を目にして思わず足を止める姿を目撃した。六本木通り沿いのため、車通りは多い。しかし音は思ったよりも気にならず、自分たちで音楽を流せば、かき消される程度かと思った。音のあるところは、逆に自分たちが発する音に対しても寛大でいてくれるため、多少の大き目の音でノリノリで働く事も出来てしまうだろう。
ここを贅沢にオフィスとして使うとしたら、十分すぎる開放感を感じながら、見られているという感覚がいつもあるように思える。それならば敢えて、目隠し等を行なわず、自分たちがステージの上で働く姿を見せているという気持ちで、働いてみてはいかがだろうか?
音楽を流しながら、走る車を横目に仕事に耽る。見られているという感覚が、今までよりもちょっとだけ背筋を延ばしてくれたりするかもしれない。絵になる働くスタイルが板についてきたら、「あの空間なんだろう?」って思われる様な話題のオフィスにしてみていただきたい。
EDITOR’S EYE
1階車のショールーム脇、同建物内にちょっと気になる飲食店がある。外からのぞくとお客は3人ほどしか入らないように見えるスペースに、酒類やCDが多く並んでいる。そのラインナップをみると、なかなか趣味が良さそうな店主が想像できる。仕事おわりにここに立ち寄るのはなんともオツである。