表参道の交差点から、青山通りを渋谷方面に進み、無印良品の角を曲る。アドレスでいうと神宮前と南青山の境目になるあたりは、常に雑誌で見かける老舗アパレルショップから、最新のカフェ、サロンなど、話題に事欠かない人気の商業エリアだ。白いこの建物は、華やかなこのエリアの中で少しだけ控えめに建っていた。

エレベーターで最上階である４階まで昇る。ドアを開けると、目の前に置かれた不自然なボックス型の階段にまず目がいく。メゾネットになっている上の階への入り口は、この階段を数段登ったところにある。少々強引な階段であるような気もするが、隠し部屋に入り込む感覚にも少し似ていて面白さはある。階段を登ったすぐ左側には中二階があり、これまでの入居者は納戸として利用していたようだ。最上階は広々とした空間という訳ではないが、屋根裏部屋のような秘密めいた場所なのに開口部が３つあることで、自然光がたくさん入る気持ちのよい空間。窓を開ければ、部屋の面積にしては大きめのバルコニーが２つついている。幸い、周囲に視線を遮るような高い建物が見当たらないため、遠くの方が見えて気持いい。上下階とも現在は、タイルカーペットが敷かれているため地味な印象を受けるかもしれないが、床や壁を流行のDIYで遊んでみるのもいいだろう。立地に関しては申し分ないこの物件、あなたの遊び心をプラスして、素敵に造り変えてみてはいかがだろうか。

上階はオフィスとして利用するのではなく、思い切って日常業務を行わず、ミーティングスペースやスタッフの休憩スペースにしてはいかがだろう。子供の頃、屋根裏部屋に自分たちの基地つくるような設定に憧れたことはないだろうか。会議をするときは、スタッフ全員がこの狭い階段を登って屋根裏に集まる。秘密の基地では思わぬアイディアが飛び出すかもしれない。