EDIT
根津美術館の片側を縁取る様に、表参道から西麻布につながる、「北坂」という坂道がある。美術館の庭がそのまま続いているような、由緒があって緑が色濃く、つらつらと長いその坂道には、数軒のセンスの良いビルが建ち並び、それぞれ賑わいを見せている。外苑西通りの抜け道というイメージか、青山通りと六本木通りを使う人にはおなじみの坂道で、美術館の方からだと、ちょうど六本木ヒルズを眺めながら坂を下る格好となる。夜はジャパニーズテイストの根津美術館とヒルズの夜景を見ながら西麻布に入るときの雰囲気が何とも情緒がある。
この建物とは、そんな北坂の途中で出会った。ガラス張りの1階フロアは、歩く人皆の目に留まるので、オフィスの利用であっても、外から見える部分はショールームやショップを意識した利用方法を考えると、良い宣伝効果になるかもしれない。坂道というのは平地と比べて必然的に歩行スピードが落ちるので、気になるものを発見するとそこに入ってみたくなるのが人間の真理らしい。確かに坂道を上る人と下る人はなぜか目が合いやすい。そんな引っ掛けを利用して、ちょっと立ち寄りたくなるオフィスや店舗を作って頂きたい。
EDITOR’S EYE
このまま必要なものだけ入れてすぐに営業ができそうなくらい、フロアはきれいな状態である。スケルトンを探していた場合でも、内装はきわめてシンプルなコンクリートと白色が中心なので、様々なテイストが当てはまると思う。