EDIT
大通りを避け、渋谷から表参道の方に向かう途中、比較的穏やかな時間が流れる街の一角に、存在感のあるこの建物がある。板倉建築研究所設計が1974年に設計した意匠性の高いこの建物は、ホテルの様なフロントサービスがあり、建築的にも、運営的にもしっかりとした状態が維持されているステキ建物である。
今回の募集スペースは、その建物のエントランス脇の区画。位置的には地下の区画となるが、この建物においては正に顔となる場所にある。建築当初からラウンジダイニングのような用途で用意されていたこともあり、直近の利用者は飲食店を行っていた。変則的なカタチをしている空間であるとともに、フロア自体に段差があるため、よりトリッキーな感じもしていて面白い。ここで飲食店をするといえば、厨房の位置や、席数などは用意に決まってしまい、逆にイメージの限界があるかもしれないが、敢えてここをオフィスにすると考えると相当面白い。大きなガラス面がある部分は外へできるだけ魅せる空間として。何かの巣の様に繋がっていながらも、分かれている空間や、元厨房の区画は、フリーアドレスにして自由に使ってもいいし、チーム毎に割り振ってみてもいいだろう。いずれにせよ、このままでの利用はハードなため、活用方法をイメージしてから、素敵な空間に仕上げていただき、渋谷にある名建築といわれる建物の「顔」の区画で、あなたらしい遊び心あるワークスタイルを確立してほしい。
EDITOR’S EYE
区画への動線は2つある。建物のエントランスに面したオープンな方と、道路面から秘密の通路的に細い階段を利用したアプローチである。この細い階段もまた雰囲気が良く、訪れる人に期待感を与えることもできるだろう。空間や働き方だけではなく、訪れる人の期待感の演出にもこだわってみてほしい。