EDIT
老舗の商店街を擁する麻布十番。老舗にふさわしい和菓子店があるかと思えば、イタリアンレストラン、カフェなど高級住宅街ならではの落ち着いた雰囲気のあるお店も軒を連ね、古き良きと新しさを混ぜ合わせた独特の空気をつくり出している。
駅徒歩1分、1階は銀行、上階はマンション、とエリートのような建物なのだが、室内は真っ白で天井がむき出しになっており、オフィス感を排除した空間。前テナントはオープンキッチンを造作し、キッチンスタジオとして利用していたという。
オフィス物件といえば新品のタイルカーペットに照明と空調が天井に埋め込まれていて、きれいさはありつつもどこか均一で物足りなさを感じることもある。この空間はそんなオフィス物件とは違い、リノベーション物件を思わせる少々荒削りな状態を残している。
この物件の特徴は、麻布十番の持つ街の洗練されたイメージと、それに逆行するかのような空間の荒削り感とのギャップ。
オフィス内はあえて倉庫のような雑然さを残して、スタッフ間のコミュニケーションやアイデアのきっかけをつくる。働くための空間というよりはむしろ、スタッフの居心地の良さを追求することで働くことと遊ぶことの境界線をなくした空間をつくりたい。
EDITOR’S EYE
天井高は最大4メートル、グリーンののぞく窓面にはバルコニーもあり、開放感があって心地よい。これらもオフィス感をなくしてくれる要素。
オフィスの雰囲気づくりから、働き方が変わる可能性を秘めた物件だ。