南青山オフィス・店舗 | 有名CLUB跡地
EDIT
ファッションカルチャーの最先端を突き進む表参道・青山エリア。常に新しいトレンドを生み出し発信していくこの街に、一つの栄光の時代に終止符をうち、また次の時代へ歩み出そうとしている物件がある。表参道駅と外苑前駅を結ぶ青山通り沿いのちょうど中間地点。目印は歩道橋という、これとない立地にこの空間は潜んでいた。
十数年、このエリアのクラブシーンを牽引してきたクラブ跡地。いかにもと言った黒い重厚な扉を開け、地下へ突き進むとメインの箱が現れる。以前まではラグジュアリーな内装がそのまま残されていたが、残念ながらそれらは全て取払われ、現在はまっさらなスケルトン空間となってしまった。しかし、これまで装飾によって隠れていた本来の空間が姿を現し、黒く塗装された大きなスケルトン空間と規則正しく並ぶ太い柱が、どこかミステリアスで緊張感すら漂わす空間を作っている。
地下なので光は入らない。しかし、裏を返せば十分な壁面積を確保し、天候に左右されずに安定した世界観を照明で演出できる。もちろん音出しは問題無いので、より様々な使い方が考えられるはずだ。もし店舗を併設した事務所といった使い方を考えているならば、小ぶりだが1階の隣区画も募集している。以前はカラオケとして使用していたようだが、そこを事務所に、メインの店舗はこの空間を使うと良いだろう。もちろんいい面だけではない。青山通り沿いにある建物だが、この区画へのアプローチは建物サイドを奥に進んだ、建物脇にある。よって商業的なアプローチとしては弱めな物件だが、高いストーリー性を持たせれば十分カバー出来るだろう。かなり手のかかる空間ではあるが、次のカルチャーを生み出すチャンスを与えられたと考えると、今後が楽しみな物件でもある。
EDITOR’S EYE
これまで多くの人々が出会い、音楽を楽しみ、恋をしてきた空間。残念だがその空間も取り壊され、まっさらなスケルトンとなってしまった。しかし、この空間やストーリーを作り上げてきた人々に敬意を払い、今後なにかしらの形でそのストーリーを引き継いでいって欲しい。様々な店舗要素に答えられる物件だが、青山通りを歩く人々の引き込み力は弱いように感じる。だが、逆に一度入ってしまえばその空間にどっぷり浸からせてくれる力もある空間と言えるので、強い個性を持ったコンセプトをこの物件の為に考えて欲しい。