EDIT
代々木駅駅前。渋谷、原宿と新宿の間に位置する利便性の高いこのエリアは、元々圧倒的な数の予備校が集中し、学びの街としてのイメージが定着していた。でもそれは少し前の話。近年では、元校舎である建物の再開発や有効活用が少しずつ進み、新たな魅力を生み出しつつある、今後が期待できるエリアでもある。
そんな駅前から、路地のような抜け道をすり抜けると、ほんの2、3分程度でついてしまう場所に、この建物はあった。
建物前から見上げる山手線の線路は、現地周辺の雑多な印象の街並みが加わる事で、時間帯によっては少々ノスタルジックな印象も受ける。そんな独特な雰囲気の場所に元校舎として使われていた建物まるごと1棟が募集にでていた。
建物は地下含めて4フロア。元校舎という事もあり、オフィスとして利用するには少々癖を感じるかもしれない。教室として利用されていた同等の広さの5つの空間は、1階に1つと各階に2つずつ。階段を中心として左右に配置されているので、フロアを2つに仕切る壁を撤去して区画を繋げる事も出来るが、それなりの工事となるため、かなりの意気込みと経済力が必要となることは間違いない。1つ1つの空間はそれなりの広さを確保しているため、区画をいじるのは最小限にして内装や、家具等でアレンジした方が得策だろう。
空間に入ると、臭いや、音の響き方など、何となく感じる学校感に気分を盛り上げられる。このままの雰囲気を敢えて残すのも良し、代々木の街の変化のように、イマドキの空間に仕上げるのも良し、1ついえる確かな事としては、校舎としての利用を終了してから初の利用者となる次の入居者によって、この建物は再出発をする事になるのだ。
そんなワクワク感だけでなく、更にとどめをさすようなインパクトが地下にあった。建物中央の独立した怪しげな階段を降りた先にあるのは、防音スタジオ。ちょっとした舞台やライブでも出来そうな状態そのままがもれなくついてくる。その他にも、受付スペースに倉庫や収納庫、打ち合せスペースにも使える個室等、普通の建物には無いようなスペースも備わっているので、それぞれのスペースをうまく活用していただきたい。
前にも伝えた通り、少々癖のあるこちらの物件、真面目に各スペースの使い方を考えるのではなく、この建物の持つストーリーとポテンシャルを最大限に発揮させ、使いこなすという表現に納まらない、”遊び倒す”を目指して楽しんでいただきたい。
EDITOR’S EYE
古びた校舎で働く。そんなチグハグ感あるセリフがとても魅力的に響く。倉庫や、元学校をオフィスにしたいというニーズもTOKYO WORKSPACEには時折相談いただくが、そう簡単に実現できる訳ではない。思い描いた校舎というイメージからは少し違うかもしれないが、この建物も間違いなく、多くの人が学びの場所としてお世話になったという、代え難いストーリーを備えた希少な物件だ。