EDIT
外苑前駅から、ベルコモンズの交差点を原宿方面に曲がる。正確な基準は曖昧だが、キラー通りと呼ばれる交差点からビクタースタジオの辺りまでの外苑西通りは、表参道とは違ったこなれた感じの雰囲気があって素敵だと思う。カーブを描いた道を、インテリアショップを見ながら、ワタリウム美術館を通り越し、もう少し歩いた日当りのよい場所に、この物件を見つけた。
白い壁に青いタイル。今から建つ建物にはきっとないだろうと思われる独特な雰囲気。洋服や時計でいう、ヴィンテージの風合いだ。建てられたのは1975年。それらしい温かみの様なものも感じる。建物の中心にあるエントランスからは階段を上って3階まで。この時代の建物の階段は、一段ごとが割と低めに作られているのか、こころなしか登りやすいような気がする。踊り場にも窓があり光が差し込むので、共用部分も明るい雰囲気。夜はオレンジのライトが灯るので、それはそれで味わいがありそうだ。
扉を開くと、思った以上に明るくてさっぱりとした空間が現れた。水回りにやや時代を感じるが、濃いブラウンの艶のあるフローリング、白い壁、そして入り込むたくさんの光と、窓越しにちらほら見える街路樹の緑が、とてもさわやかだ。完全にリフォームがされているのに、あるべき雰囲気は丁寧に残されている感じがする。1970年代の入居者には、この部屋から何が見えただろう。この空間でどんな仕事をしたのだろう。80年代は?90年代は?と考えてしまった。想いを巡らせながら、2010代のキラー通りで、何ができるだろうということを考えてみた。このオフィスで、街や通りの歴史に折り重なるような仕事ができたらいいと思った。
EDITOR’S EYE
室内には収納部分もあるので、うまく利用すれば収納家具が不要かもしれない。見える部分の家具は、全てヴィンテージで揃えて、この空間の雰囲気を最大限味わいたい。