恵比寿オフィス |恵比寿神社横のスケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
恵比寿駅西口から駒沢通りを歩いていく。しばらく大通りの忙しなさに飲まれていると、ふとビルとビルに挟まれた小道に目が止まった。道の奥の方を覗き込むと、そこに見えたのは小さな神社の正面部分。遠くからでも分かる神聖さに少し緊張しながらも近づいてみると、神社をバリアするように、その周りを細い道がぐるんと一周囲っていた。それがまた不思議な世界観を演出していて、穏やかで古めかしく、少し怪しい空間が広がっていく。そこだけ時空間が切り離された、さっきまでの喧騒が嘘のような世界。そんな神社の真隣に、一棟の建物が建っていた。
>>SPACE
曲線のガラス窓が特徴ではあるが、特別デザイン性のある外観ではないこの建物。少しの不安を胸に2階へと上がり、重い扉を開けると、なんだかスーッとするような外との温度の違いを覚えた。どちらかと言えば商業的な外観をした建物だが、室内空間からはそういった商売っ気が感じられない。ガツガツしていない。入ってきた人間に対しては優しく微笑むに留まるような、寡黙な空間であると感じた。全体は淡いホワイトベースのスケルトン。所々に見られる壁材の剥がれた痕が、これまでの入居者の歴史を感じさせ、良い味を出していた。
時の流れが緩やかに感じるこの空間は、淡くて白い壁や天井と、それに反射する柔らかい日差しが作り上げていると気付いた。天気の良い日は、ぽかぽかと微睡んでしまうだろうなと想像していると、ふと目に止まったのは窓先の木々。神社の境内の豊かな緑が、借景として写り込んでいた。そして窓から外を見下ろすと、この建物の真隣に先程の神社が。完全に空間の優しさに包まれてリラックスモードだったが、思わず背筋を伸ばしてしまった。
>> HOW TO USE
この淡く優しく、清らかさすら感じる空間には、できるだけ元の雰囲気を壊さぬように手を加えてみてほしい。「味」となる部分は残しつつ、少し綺麗に整える。後は、「優しい気持ち」を忘れずに家具を選び抜き、とことんリラックスするためのレイアウトにしていく。デスクなどで敷き詰めてしまうのは少しもったいない。コンパクトな区画ではあるが、余白を作ったり、余白の先に広がる緑の景色なども意識してレイアウト出来れば、この空間の持つ元の良さが引き立つだろう。
そうした空間の中、神社のそばで仕事と対峙していく。窓先に揺れる緑を見ていると心が安らぐ。見えないものに見守られている安心感の中で、仕事上の重大な決断も勇気を持って行える。頑張る上で、心に拠り所があるのは非常に大きい。行き詰まった時は恒例になるであろうお参りの時間に、素直に神様助けて!と言える職場。そんな会社は、ネガティブからは無縁の位置にいられるような気がしてならない。
EDITOR’S EYE
空間の優しさに包まれてリラックスしつつ、神様が見守る中で一生懸命働ける日々は、非常メリハリのあるものだろう。仕事に成功した時は、お礼参りも忘れずに。