神宮前オフィス・店舗|路面区画 スケルトン空間
EDIT
>>LOCATION
道幅も広く、緩いカーブで視界が広がるキラー通りを進む。青山通りからまい泉通りの出口あたりまでは、路面店舗も多く歩く楽しみもあるが、ワタリウム美術館を超えたあたりから、店舗・人影もまばらになり、車が行き交う通りや脇にそびえる建物に目をやる時間が増える様な印象だ。今回の建物は正面からだといわゆるテナントビルといった表情だが、脇から眺めた際のシャープでエッジの効いた姿が特徴的。歩道から2Fへ上がる階段の奥に隠れた、引っ込み思案な1F路面区画を見つけた。
>>SPACE
室内は、前テナントの内装を解体したフルスケルトン状態。建物形状が歩道に向かい小刀の様な形状となり、刃先部分のエントランスはエレベーターなどにより限られたスペースであるが、柄の部分となる室内空間に入ると、奥にある大きな窓と余裕ある天井高のおかげで、思った以上の広がりに驚く。建物裏側には、住宅街との間の路地があり、路面区画では比較的珍しい二面採光を確保。抜け感とまでは言わないが、実面積以上の広がりを感じる空間だ。閉鎖的過ぎず、かと言ってどこからでも視線を感じる様な明け透け感もなく、外部とのつながりが絶妙なバランスによって成立している空間と言えるだろう。
>>HOW TO USE
通り沿いの路面区画とくれば、その視認性を活かして店舗を、と考えてしまうが、この物件に限って言えば、歩道を歩いていても視界に入る時間はそこまで長くない。であれば思い切ってクローズしてしまうというのもアイデアとしては面白いかもしれない。幸いにも外部への発信方法はSNSなど、様々な手段が考えられるこの時代だからこそ、敢えて視線を遮り、その分室内へ招いた時のギャップを演出してみる。フルスケルトン状態で、その坪単価や設備・内装工事の重さを考えると、簡単なチャレンジではないが、特徴的な外観含め力の入れ甲斐はあると思える空間だ。立地や路面という要素を足し算するありがちな計算式で答えを出すのではなく、オリジナルな発想でこの空間の利用の正解を、導き出していただきたい。
EDITOR’S EYE
2006年のグッドデザイン賞にも選ばれたこの建物。スケルトン状態ではあるが明るいせいなのか、無機質すぎる印象もない。店舗はもちろんだが、事務所としても十分居心地の良い空間になり得るだろうと感じる。
上階の2F区画も現在募集中。こちらはテラスの様な共有部もあり、一味違った面白さのある空間だ。